◆ ベルギー カラーダイヤモンド買い付けレポート 2004年9月 Page: 1 2 3 4


1853年、ペリーが黒船に乗って浦賀に現れ、いきなり大砲をズドンとやらかしたことによって太平の世が一挙に崩れたわけであるが、どのような歴史書を読んでも 『江戸幕府は大いに驚き・・』 とか 『慌てふためいた幕府は・・』 というような表現でこの騒ぎを描写している。
ペリーはもちろん戦争するために来たのではなくて、貿易船や捕鯨船用の燃料、食料の補給基地を日本に求めるために開国を迫ったのである。しかし、尋常の要求ではとても見込みがないと判断、その結果のズドンであったわけだ。この強攻策(?)が大いに効果あったわけだけども、ペリーはガムシャラ、やけくそで大砲ぶっ放したというわけではないのである、しっかりと参考書を読んだ後の来日と砲艦外交だったのだ。
参考書とは、かの有名なシーボルト博士の大著 『日本』 であるけれども、この中で博士は日本人の特徴について詳しく述べているそうだ、『名誉を重んじ、情に厚く、そして恫喝に弱い』 とね。

本当に残念な事に、名誉と情は既に過去の事ながら、恫喝、脅し、ブラフに弱い日本人像というのは昔から全く変わってないという気がする。農耕民族の慎重さ、一か八かの出たとこ勝負や博打には性格上向いてないということだろうか、あるいは、いつの時代も和が大事、歴史のホンの一時期を除いて強烈なリーダーシップを欲してこなかったということか。
ヨーロッパはこのような日本の歴史とは正反対、史上に信長的なパワフルリーダーが目白押しだ。なんせ、ひとたび戦乱となり負ければ領民皆殺し、殺戮と虐殺の繰り返し。当然ながらリーダーには強力な指導力と統率力、戦闘能力が要求されることとなる。結果として、恫喝に怯むような指導者では戦争どころか外交さえも覚束ない、そんなものに対して強く反発するような人間が好まれることとなる。

恫喝、ブラフ、このような言葉は国際政治の世界だけかと言うと全くそんなことはなくて、ビジネスの世界も決して例外ではないと思う。
もう何年も前になるけども、ウッキーも苦い経験がある。
ベルギー・アントワープのいつもの買い付け、Sに連れられて行ったある事務所、いろいろと商品を見たけれども今一つピリッとしない、何だか良く分
からないままに時は過ぎ、買えるようなものがないのだけれども、せっかく時間を取っての訪問と商品チェック、何もないでは完全に無駄な時間を過ごした事となるし、訪問先の社長に少しすまない気もする。そういう思いから、あるひと包みのホワイト系低級品にチャレンジすることにした。ひとやまナンボでは余りにも値段が合わないから何割かセレクトして値段をOffer。ところが、それを聞いたそこの社長のひと言、『時間の無駄』。
瞬間にムカッときたウッキーは席を立って上着を着てSの事務所に戻る準備を始めた。
当然ながら大いに慌てるS、「ちょっと待てウッキー、まず座れ! 話せば分かる」と言うSに促されて座りかけたのだが、今度はそこのオッサンが怒り出した、こいつもウッキーに負けず劣らずの瞬間湯沸かし機だ、いきなりドアを開けて “ Get out, never again ! ” ときたもんだ。そりゃ出て行きますよ、自分から席を立ったのだから。それにしても腹の立つの何の。こちらの努力と気遣いを時間の無駄と言われ上に出て行けとはホンマどういうこっちゃ! クソ餓鬼シバくぞ! と独り言ブツブツ唱えながらSの事務所に戻ったのであるが、S にとっても大事な取引先である(ウッキーではない、先方のディーラーのことだ)、しばらくしてウッキーは、S から事情を聞いた上に先方のオッサンとも電話で話した S のオヤジさんから説教されることとなる。
ウッキーがブラフを使ったという訳だ。
ウッキーが席を立って帰る素振りを見せた事、それをブラフと周りの皆は捉えたということである。
まさか、そんな高度な交渉術を使えるか、俺は単純にムカッと来ただけ、考える間もなく席を立っていたということだったのに・・・。

全くもって頭に来ることだが、ヨーロッパ人というのは、恫喝、ブラフでもってさんざんアジアの人たちから搾取してきたものだから、逆にアジア人からブラフを使われることを極端に嫌がる、という訳やねえ。
ホンマいろいろと許し難いケ〇ウどもやな。

ところで、日本にもこの恫喝、ブラフの使い方の大変上手な方がいらっしゃるのをご存知か。

・・・・

プロ野球ついにスト突入。
老害に古田の頭脳もついにキレ、というところだろうね。
しかしプロ野球経営者というのはあそこまで馬鹿だったのかとガッカリ、というのがファンの本音であろう。9月18日19日と連日に渡って読売新聞の社説にはプロ野球ストに関する見解が述べられていたけども、奴らクソヤローどもの本性が透かし彫りのように出ていて誠に興味深かった、というか、怒りと呆れを大きく通り越して噴飯モノとしか言いようがなかった。

それにしても醜いと言うしかない読売新聞社説。
ストに至った経緯、責任を一方的に選手会に押し付け、経営者側には全く非がないとする論調と手前勝手な論理。いくら経営者側とは言え、あそこまで公正さを欠いている文章は筆者の見識を疑うし、この論説委員が国際問題や政治問題でどのような大説を展開しているのか知らないけども、他の問題でどんな立派な論理を繰り広げようとも、たかがプロ野球の再編問題であの社説では政治・国際問題の意見に全く説得力を欠いてしまうのは明らかと言うしかない。
18日の社説は 「ファン裏切る億万長者のスト」 というタイトルの社説であったが、このタイトルからしてフェアじゃないし見当違いも甚だしい。タイトルだけ見るならば古田たち主力プレーヤーが賃金闘争のためにストを決行したかの印象を与える、まったくそうじゃないだろう。センセーショナルなタイトルを付けて読者の気を引き付けるだけ引き付けた上にタイトルに見合った本文の記述なきもの、なんたる安モン低俗週刊誌の手法との誹りを受けても仕方のないところだろう。
大新聞社の論説委員がこの体たらくか! 
もう立派すぎて言葉もないね。

いろいろと言いたいことが山積だが、まずこの億万長者は誰が中心になって作ったのか、そこのところを検証してみようか。
読売新聞の皆さんはよ〜く思い出してもらいたいね。政治屋なみに物忘れがひどくなっているのか。ならばウッキーが丁寧に回顧録書いたるからしっかり読めよ。

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◆ Back Number ◆
2005.07 Cut & Polished in Belgium
2005.04 ルフトハンザで出国
2005.02 オリーブの漬物
2004.11 ベルギーの初冬
2004.9 上手なブラフの使い方?
2004.8 2004アジアカップ
2004.4 ゴールデンウィーク に オランダ を想う・・・。
2003.11 Believe me!
2003.7 Vacances!
2003.5 日本とベルギーの規範
2003.3 ベルギー名物と言えば
2002.9 空港のネーミングについて
2002.5 ワールドカップ
2002.3 ひな祭り
2002.2 ユーロとトラブル
2001.12 プリンセス雑感
2001.11 ニューヨークの思い出
2001.9 不景気とは
2001.7 女子テニスプレーヤーというのは宝石だらけで戦っている・・・。
2000.4 ファンシーカットの好みは各国でかなり違うようだ・・・。
2000.2 天然の物が相手になるがゆえのつらさ、というのが常にある。
1999.12 私はダイアモンド業界ではゴルフの世界の尾崎みたいなものだ、といって自己紹介することにしている・・・