大阪人みたいや、などとあまりオランダ人のことを悪く言うとKLMのブラックリストに載せられそうやから少し補足すると、‘Go
Dutch’= 割勘 というのは中世の絵画からきているらしい。
我々の習った世界史の教科書にも載っていた超有名なレンブラントの“The Night Watch(夜警)”、言うとくけどもコッホというだけで詰まらん絵に大枚はたく日本人が100億や200億積んで買おうとしても絶対に売って貰えまへん、アムステルダム国立美術館、ウッキーも十年以上前に見に行ってきました、ド迫力やねえ、正面入り口を入った瞬間一番奥にジャジャーンとばかりに飾られているのがいきなり目に飛び込んできて強烈な印象、とにかく大きかった、8畳敷きくらいだったかな、ちょっと大げさかもしれんけどもそのくらいに感じた。自慢じゃないが、小さい時から何が苦手と言って絵くらい苦手なものなかったから絵画を批評するボキャのないことをお許し願いたいが、一万回生まれ変わっても俺には描けんと思ったね。お金持ち風リーダーふたりを囲むように槍や種子島的ライフルで武装する十数人の男たち、鶏ぶら下げた女の子ひとり入っているのが何ともご愛嬌なんだけども、写真のない当時、画家に肖像画を描いてもらいたいけど一人で費用負担するには高すぎる、それでこの‘夜警団’のようにたくさん集まってまとめて描いてもらって‘割勘’したということですなあ。地方自治ならぬ自治都市が多かったオランダならではのことらしいねえ、さすが中世の最先進国、ホンマええことやおまへんか、っとこれくらい褒めておけばええかな。
アムステルダムを経由して無事にブラッセル到着、やはりビジネスクラス、疲労感がほとんどない。西ヨーロッパ時間、月曜の午後6時まえアントワープ、早速にSの事務所へ。
仕事をするわけではないが、明日からの買付けのために欠かせぬ訪問だ。
風邪を引いたというSはひどい声である、かすれているから耳元でささやく様な会話である。4月20日過ぎからヨーロッパの休みを利用して来日していたS、『お前どうせ日本からの帰りに東南アジアで遊んでたんやろ、SARSになったんや』とからかっても『そうそう、その通り』、『ベルギー初のSARS患者やな』と追い討ちしても『せやせや、どないにでも言うといてくれ』と全くいつもの元気がない。ヨーロッパの人間にしてみれば中国も日本も同じ、日本から帰国したSにベルギーの友人は半分冗談で『お前とは当分会わない』と言ったそうだが、このSの状態、マジで友達なくすのではないかと心配してあげる。今回の不安は女子社員だけではなさそうである。
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