◆ ベルギー カラーダイヤモンド買い付けレポート 2002年2月

最高の人生とは、日本人の妻とイギリスの家に住んで、アメリカ人並の給料をもらい、中国人のシェフを召抱えることだ一などと15年前20年前に欧米でよく言われた。

2000年2月25日、KLM867便は無事に関西空港にタッチダウン、最近はやりの卒業旅行というのか、二十歳前後の日本人の女の子が6割以上を占めている。この子達を見ていると、日本人の妻と、という人生訓がなんだかとてもむなしいものに思えてくる。着陸と同時に携帯を取り出し友達としゃべる者、入念に化粧をする子、そして、みんな一様にブランド物の入った紙袋を抱え、トロトロと出口に向かう。50歳代のオバサマたちとなんら変わるところがない。まさか、スペインやイタリアに男を漁りに行ったわけではないだろうけど、この品のなさ、知性のなさはどうだろう。私が若いころ、女子大生亡国論というのがあった。アホな女子大生を多数生産している女子大、短大の状況を嘆いたものだったけども、現状はそんな生易しいものではなさそうだ。このパープーたちが日本にいる間はまぁ仕方がないか、で済むけれども海外まで恥を曝しに行くとなるともう国益に関わる大問題だ。ただでさえ世界の国々から尊敬もされず、成金とバカにされひたすら上納金を納め続けている日本であるのに、、、。

20年前の最低の人生は、アメリカ人の妻と日本の家に住み、中国人並の給料でイギリス料理を食べること、だった。

さて、ここで男性諸氏に究極の選択です。もしあなたが2つしか選択肢がなくて必ず選択しなくてはならないとした場合、どちらを結婚相手に選びますか?
1、アホな日本人
2、浪費家のアメリカ人

私は決して「西洋かぶれ」ではない。逆に知人から右翼と誤解されるような愛国心に溢れた男である。欧米に何度も行ったり、長く滞在したりすると日本人の場合だいたい2タイプに分かれる。かぶれるやつと私のように国を憂える者に。企業の人間はたいてい後者の方だろう。前者はまぁたいてい学者さんたちである。自らを革新的進歩的インテリと呼ぶ学者さんたちでさえ、毎日成田空港から関西空港から海外に出発して行く若い女性たちを見て、「まさに現代的だ」とか「進歩した若人だ」とか賞賛は与えまい。
お若い方々、海外に行ったらショッピングに費やす半分の時間でよいから現地の人たちと会話する時間を持ってくれ。片言の英語で充分通じる。その経験こそが海外旅行の醍醐味だと思う。

日本を発ったのは2月20日だった。
21日の月曜から23日の水曜まで3日間働き、木曜のフライトで金曜に帰国。
現地の空港まで迎えに来てもらいホテルにチェックイン、あとはホテルと事務所の往復のみ。
なんともショボイ海外出張である。得意先の多くは「バイヤーはええな、観光の合間に仕事できて」とか言うけどとんでもない話しである。遊びがメインであれば、まずい食事、寒い部屋、時差ボケ、etc、全て我慢します。

サプライヤーのSによると、今回約40人のブローカーやらオーナーやらと商談したらしい。もちろん全部の人間から買ったということはない。ある人からは何百万も、ある人は全く0、濃淡は極端である。それらをまとめてSが輸出の手続きをするのだ。もちろん合法的な貿易取り引きであるから、私がカバンに入れて持って帰ってくるわけではない。帰国後3〜4日して受領する。Sには貿易取引事務手数料、事務所使用料として買い付け額の3%を買い付け額に上乗せして支払う。個々の事務所、オーナーと個別にやりとりすればこの3%はいらないのだけれども、かえって面倒である。Sにまかせておけばマネージャーとしてアポイントをとったり、時間の管理までやってくれるから非常に効率がよい。


ミスターS氏



S氏の兄


S氏とS氏の父親

さて、いつものようにトッププロとして恥ずかしくない買い付けができたのかどうか。
天然の物が相手になるがゆえのつらさ、というのが常にある。前回と全く同じ物というのが絶対に存在しない。同じようなもの、このようなもの、という買い付けにならざるを得ないゆえ、時には注文を出してくれたお客さんと口論になる。前回のものと違う、いや同じようなものだ、といういつまでも堂堂巡り、水掛け論である。
トッププロはこのような時、いったいどう対処するのか。

1、どついてでも買わせる。
2、土下座してでも買ってもらう。
3、ベルギーに返品する。
4、次回から何も注文は受けない、と脅す。
5、簡単にあきらめ別の客を探す。

まじな話、これ全部ありうる。まぁ、どつくというのはないかもしれないけど。
5番以外はあまり穏やかではないのであまりやらないほうがいいに決まっている。
お互いの力関係でいずれかの選択になる。私の場合は結構しつこいので簡単にあきらめない。
何度もなだめすかして説得するが、たいていそのようになったらダメである。最後にはあきらめることになる。
この出張でそのようなややこしい注文がなかったことは非常にラッキーだった。ひたすら自分の感性でセレクションし、値を付けた。

30年前ECと呼ばれ、ベネルックス3国とドイツ、フランス、イタリアの6カ国で始まったヨーロッパ共同体も今やEUという連合体になった。アメリカの各州の結びつきを若干緩めにしたようなほぼ1大国の様相である。100年くらい先にはほぼヨーロッパ合衆国が誕生しているに違いないと思う。
この政治経済的連合を皮肉るように、次のようなおもしろいコラムが機内誌にあった。

一最高のヨーロッパ人になるには。
イギリス人のように料理をよくし、
イタリア人のように時間に正確で、
ベルギー人のようによく働き、
オランダ人のように友達によく奢り、
スペイン人のように機械に強く、
フランス人のように外国語に堪能で、
ドイツ人のようにフレキシブルで、
あらねばならない、云々一

これを聞いて真面目に頷くヨーロッパ人はいないわけであり、多くの人は笑い転げ、ある人たちは怒り出すに違いない。
私が思うに、ベルギー人のハードワーカーというのは奇跡に近い。
どの事務所でもOLが私用電話に忙しいし、アメリカ人的な精力的ビジネスマンにもお目にかかった事がない。おそらく年間200日も働いてないのではないか。

最後に真面目版、こんな町が理想的なヨーロッパの都市一
イギリス人の警官がいて、
フランス人の経営するレストランあって、
ドイツ人のメカニックがいて、
スイス人のマネージャーがいて、
イタリア人の恋人がいる一

Bon Voyage


◆ Back Number ◆
2005.07 Cut & Polished in Belgium
2005.04 ルフトハンザで出国
2005.02 オリーブの漬物
2004.11 ベルギーの初冬
2004.9 上手なブラフの使い方?
2004.8 2004アジアカップ
2004.4 ゴールデンウィーク に オランダ を想う・・・。
2003.11 Believe me!
2003.7 Vacances!
2003.5 日本とベルギーの規範
2003.3 ベルギー名物と言えば
2002.9 空港のネーミングについて
2002.5 ワールドカップ
2002.3 ひな祭り
2002.2 ユーロとトラブル
2001.12 プリンセス雑感
2001.11 ニューヨークの思い出
2001.9 不景気とは
2001.7 女子テニスプレーヤーというのは宝石だらけで戦っている・・・。
2000.4 ファンシーカットの好みは各国でかなり違うようだ・・・。
2000.2 天然の物が相手になるがゆえのつらさ、というのが常にある。
1999.12 私はダイアモンド業界ではゴルフの世界の尾崎みたいなものだ、といって自己紹介することにしている・・・