◇◆ ファンシー ストーリー第5話 ◆◇ |
お正月、というと皆さんはどのように過ごすのでしょうか。 私はアカデミックな家に生まれてしまったものですから、小さい時からお正月といえば やはり百人一首、これしかありません、凧揚げや独楽には見向きもせずにひたすら百枚の札をめぐっての熱い戦いを演じておりました。当然ながら今でもその習慣は残っておりまして、子供たちに『天智天皇』と言えば、すぐさま『秋の田の、、、』と答えが返ってくるようになっており、、、 冗談はさておき、やはり子供が中学に行くようになると百人一首のひとつやふたつ知らないとバカにされます、幸運な事にアカデミックな家に、、、もうええわ、 私が好きなのは以前にも書いているように紀友則の歌なのですが、女流歌人として評価の高い待賢門院堀川という方の歌もいいですね。 『長からむ 心もしらず 黒髪の みだれてけさは 物をこそ思へ』 平安時代は男が好きな女性のところに夜這いできるという素晴らしい習慣があったようですね。しかしながら、もちろん女性の方に選択権があるわけですから、男が望み果たせずすごすごと引き上げていく時の気持ちというのは現代に生きる私にも(私だからでしょうか)察して余りあるものがあります。 |
堀川さんの歌は好きな人が来てくれてしっとりと一夜をともにし、その翌朝一人になった時の心境を寝間で綴ったものですね。 黒髪の乱れとしどけない姿が目に浮かぶなんともなまめかしい妖艶の美を感じます。 平安時代は官能的な表現としてこの黒髪がよく用いられました。女性の美の極めて重要な要素であった黒髪の乱れに限りない思いが秘められているような気がします。 |
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うーん、やっぱり平安時代がええなあ、何べん叩き出されてもしつこく通って、、、 この美しい黒髪、今いったいどこで見られるのでしょうか、古きよき時代の男がタイムスリップして現代の日本に着たら絶対同じ民族とは思わないでしょうな、なんでこんなことになってしまったのか、私は残念でたまりません。 |
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髪の毛に限らず日本人のファッションというのはステレオタイプが多いですね。最近特にその傾向が強いように思います。 私が若い頃、関西の若い女性というのはわりとはっきりとした色使いが好みで、例えば3月になるとまだ寒いうちからピンク系やらイエロー系の薄手の素材の服装に切り替えるという人が多く見られ、当時から黒やグレイがファッションの主流であった関東の女性とは好対照でした。ところが昨今はどこに行っても春でも夏でも黒、グレイ、ブラウンなどのいわゆるドブネズミ系ばかり、うんざりします。 |
アクセサリー、バッグ類に目を転じてみれば、 ルイヴィトンとローレックス、そしてティファニーを与えておけば何割かの女というのは満足するのだな、ということが一目瞭然ですね。これらを三種の神器の如く敬う女たちは私には薄っぺらなキャラクターの持ち主としか映らないのですが。 電車に乗っている時、前に座っているキンピカ頭の若い女がLVマークの入ったバッグを膝の上であけ、ローレックスをつけた腕をこれ見よがしにさも重そうに動かしてケイタイを取り出し、『あっ、あたし、なにしてんの、うそー、えー、ホンマ、、、』とかやりだしますと、私はもう体中の血が逆流しまして、おもわずそのからっぽであろうキンピカ頭にまわし蹴りをくらわし、返す踵をそのアホな口に突っ込みたくなります。 皇太子が若い頃、雅子さんと知り合う前だと思いますが、女性観を聞かれたのに対して、 『ティファニーでの買い物をねだるようなタイプの女性はちょっと、、、』と言って物議をかもした事がありました。私は当然ながら瞬間で皇太子のファンとなってしまいましたが、普段の発言を厳しく制限され、特に固有名詞を出しての批判がましい発言は封じられているはずの皇族がこのように言ったのですから皇太子もよほど腹に据えかねることがあったのでしょう。 有名ブランドで飾ることがどれほどのものだと言うのでしょうか。 そんな物付ければ付けるほど自分自身の価値を下げるばかりです。ン十万かけて自分の値打ちを下げる、こんなばかげた事はありません。それよりも、 それぞれのカラーに合うファンシーなものを身に付けた方がよほどおしゃれだと思うのですが。 Fancy meeting you here! − 君とここで会うなんて、と誰かに言わしめてみたいとは思いませんか。 似合わない茶金髪にパンツまでLVのマーク入ってるんじゃないかと思うようなブランドジャラジャラの女にこんな言葉を掛けるノーマルな男はまずいないという気がします、 |
ミナミの引っかけ橋の上で同類の男を待つのでしたらお似合いでしょうけども。 ファッションとは、その人個人の性格の発露だと思うのですが如何でしょうか。 時々ファッション雑誌の衣装そのままみたいなにいちゃん、ねえちゃんと会話しないといけない状況に陥ることがありますね。やはり誰でも仕方なしに「おしゃれですね」と褒めますよね、一応口先だけ。そんな時返ってくる言葉がまるで判でついたように、次のようなものですな。 『そのへんにあるものを引っかけてきただけですよ』 誰しも、ケッと思ってしらける瞬間です。 あのね、あんた、、、 |
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家を出る前時間かけて鏡の前でいろいろとっかえひっかえしてる姿が目に浮かぶのに よう言うね、ホンマに。 それにその台詞はなあ、新庄や藤原紀香のような日本人離れしたスタイル抜群のやつらが洗いざらしのジーンズとTシャツの上に古い皮ジャンをそれこそ'引っかけて'きた時にさまになる言葉なんじゃ、ボケ、と言いたくなりませんか。 本人たちにとってみれば一応は謙虚な言葉を、という事だと思いますが、これほど使われてるうちに意味の変わってしまった手垢の付いた言葉も珍しいのではないでしょうか、 それを平気で使うというのはまさに厚顔無恥、こんなやつらもまわしげりの対象です。 個性的という言葉があります。 個性というのはプラスのイメージであって、決して猿真似をしたり有名ブランドで固める事ではないのです。 LVマークや重たい自動巻きの時計には見向きもせず、 |
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さて、冒頭に登場の堀川女史、才色兼備かどうかは今となっては確かめる術はございません、残念ながら。でも、彼女のところに夜這いをかけてあんな歌まで残させた男はいったい誰なのか、少し気になるところです。彼女のじいさんは右大臣だったそうで、それから考えると通ってきたのは半端なやつではなさそうですな。 時の宰相、藤原忠通であったという噂もあります。 独身の小泉さん、あんたも平安時代やったらええのになあと思ってるやろ。 |
◆ Back Number ◆ | |
第20話 | UKIカラーで綴った枕草子 |
第19話 | 古今和歌集ダイヤモンド語訳 |
第18話 | 2006W杯 × Fancy Color |
第17話 | That's Baseball |
第16話 | トリノの余韻 |
第15話 | “The Aurora butterfly of Pease” |
第14話 | Fancy June ... |
第13話 | ウッキー夜話 |
第12話 | 『春のダイヤ人気番付』 |
第11話 | 2003年 南船場の秋 |
第10話 | 「白シャツ」と「白ダイヤ」にご注意。 |
第9話 | 初詣 |
第8話 | 秋 |
第7話 | 日本の色 |
第6話 | オリンピック随想 |
第5話 | お正月に想う |
第4話 | ブルーダイヤ、高価とは聞いておられるでしょうがどれほど高価なのか・・・ |
第3話 | 同じ赤でもピンクダイアとルビーではかなり色に違いがあります・・・ |
第2話 | 新しい「誕生ダイアモンド」なるものを設定・・・!! |
第1話 | 『fantasy』で『fantastic』な『fancy world』へ御案内。 |